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相続法を見直し中!? 全部変わったら何が起きる?

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相続法を見直し中!? 全部変わったら何が起きる?

超高齢化社会の到来を前に相続法の改正が審議されています。
法務省が発表した中間試案では「遺産分割」「遺言制度」「遺留分制度」「配偶者の居住権」「相続人以外の貢献」という5つの柱が示されています。
仮にすべての試案が通った場合、どのようなことが起きるのでしょうか。

■久しぶりの相続法改正

前回相続法が改正されたのは1980年、配偶者の法定相続分を3分の1から2分の1に引き上げられた時でした。
それ以来、35年以上も大きな見直しは行われませんでしたが、その間に社会情勢は大きく変化しました。
特に高齢化は著しく進行し、65歳以上の人口が全体の3割にも及ぼうとしています。
それと比較して若い世代の人口の伸び率はかつての勢いはなく、一人あたりにのしかかる介護の負担は大きくなっていると言えるでしょう。
老々介護、嫁などの法定相続人以外の介護などの状況も増えている中、新しい相続法の登場が待たれています。

■配偶者の居住権は保護される?

現行法では被相続人名義の物件は、相続開始と同時にすべての相続人が共有となり、そこに暮らしていた配偶者の居住権は保証されませんでした。
たとえば、年老いた妻が夫の在宅介護を一手に引き受けていたにもかかわらず、相続問題で家を失う可能性もあるのです。
相続でもめると、たとえ配偶者でも住み慣れた家を追い出されてしまうこともあるのが、一部で問題視されていました。
このたびの改正案では、配偶者の終身居住権を保護できないか、遺産分割が終了するまで住み続けることはできないかという方向で議論が進められています。
少なくとも長年の介護も虚しく、住み慣れた家を追い出されるというケースは改善されそうです。

■配偶者の相続分が増加する?

これまでは配偶者の法定相続分は遺産の2分の1と画一的に定められていました。
しかし今後は、配偶者が被相続人の財産を増やすことに貢献したと認められる場合、その割合に応じて相続分を増やすことが検討されています。
婚姻成立から一定期間が経過したタイミングで届出をすることで配偶者の法定相続分を引き上げるというプランも提案されているのは興味深いところです。
つまり、相続開始のずっと前から人生設計の1つとして配偶者への相続を考えることができるということになります。
いざという時に備えて、若いうちから準備するのも一つの愛情の証しとも言えるでしょう。

■夫の父の介護で金銭を請求できる?

従来は嫁には遺産を分割する権限は一切ありませんでした。
もし、被相続人が介護をしてくれた嫁に遺産を渡そうと考えても、確実な方法がないというのが実情だったのです。
新しい相続法の下でも嫁が遺産分割できるようにはなりませんが、相続人への金銭請求権を認めようという動きはあります。
嫁に限らず、相続人以外でも被相続人に対して無償の貢献をしてきた人ならば誰でもこの権利を行使できる可能性もあります。

以上のように相続法の改正は、これまでとかくトラブルの火種となりがちだった各種相続問題を考慮しているとも言えます。
配偶者が2分の1、残りを他の相続人が均等に配分するという法律があったとしても、生前の被相続人との関係からそれが正しいとは言い難い場合は多々あります。
被相続人の何の世話もしなかった夫の兄弟たちが相続をし、介護のために仕事をやめた嫁が一銭も受け取れないというのはどう考えても理不尽です。
高齢化社会の進行とともに介護問題がいっそう深刻なものとなる前に、相続法改正が待たれるところです。

 

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